科目別勉強法

<科目別勉強法①>財務会計論の勉強法-短答編-

今回の記事では、財務会計論(短答)の勉強法について解説していきます。

あなたも、会計士試験の勉強をするに当たって、最初に勉強を始める科目が、財務会計論だったんじゃないでしょうか。

・・・それもそのはず、この財務会計論は他の科目と比べ、圧倒的にボリュームが多いんです。ボリュームが多すぎて、試験勉強の初期の段階から手をつけていかないと、全然間に合いませんからね。

また、この財務会計論で勉強する内容が公認会計士の独占業務、「監査」において必須となる企業会計の知識のベースとなります。これらの知識は、試験に合格して、実務に入ってからも重要になります。

将来の仕事にも直結する重要な科目だと認識して、気合を入れて勉強していきましょうね。

さて、財務会計論は大きく分けて「計算」「理論」に分かれます。

短答式試験では、出題量・配点が大体計算が6-7割、理論が3-4割です。計算の方が配点のウエイトが大きいですが、当然ながら理論もしっかり勉強・対策していくようにしましょう。

それでは、計算と理論に分けて、それぞれの勉強法についてお話していきますね。

計算は、仕訳・解法を体の髄まで刻み込め

まず計算の勉強法から解説します。

財務会計論の計算は、ほぼ簿記と言いかえてもいいかもしれませんね。私がいつも言っていることが『試験勉強のメインに据えるべき教材は問題集』だということです。

そしてこれは、簿記については特に当てはまることです。テキストを眺めている時間が1だとすると、問題集に取り組んでいる時間は5くらいかけて良いくらいですよ。

簿記はとにかくアウトプットが大事

簿記は、仕訳・解法など、問題を解きながら覚えていくのが一番効率的です。

簿記はテキストを読んでいるだけでは絶対に覚えられません。ましてや、講義を聞いただけで1日の勉強を終わらせているとか、論外レベルです。

簿記は何回も問題を解いて、何回も間違えて、何回も解き直すことでやっと身につきます。仕訳・解法を体の髄にまで刻み込む勢いで取り組むべきです。とにかく簿記は、繰り返し、繰り返し、問題を解くことでしか身につきません。

「簿記はスポーツだ!」とよく言われるように、簿記は理屈で覚えるのではなく、体で覚えるようにしましょう。

特に連結のタイムテーブルや、退職給付会計のワークシートの書き方なんて、理屈じゃないでしょう?

簿記は問題のパターンごとに解法のパターンも丸暗記して、同じような問題が出てきたらパッと仕訳の形が思い浮かぶレベルにまで仕上げることが理想です。

簿記は本当にアウトプット中心の学習です。インプットはマジでさらっとで良いです。講義音声聞いたり、テキストを眺めたりする時間は最小限に留めておきましょう。テキストなんて、問題を間違えたときに参照するだけでも構わないくらいです。

とにかく、簿記は覚えたことをアウトプット、アウトプット、アウトプットです!

目安としては、問題集の全部の問題を3周以上できれば一安心ですね。もちろん、復習のタイミングには気をつけて下さいね。

ちなみに、大半の受験生が財務会計論の段階で勉強から脱落していきます。これまでの学校教育の呪縛や、予備校の洗脳の影響を受けて、講義中心・ノート取り中心のインプットベースの勉強を強要させられ、十分なアウトプットが出来ずに、簿記の成績が上がらず、モチベーションが下がって受験勉強から撤退するパターンがほとんどです。

そうじゃないんです。簿記こそ、アウトプットが全てなんです。自分で仕訳書いて、電卓叩いて、解答欄埋めることでしか、簿記はマスターできません。

とにかく、手を動かせ!!

これが、簿記、すなわち財務会計論の計算を制する一番の近道です。

また、問題を解くスピードも、最初は遅くても、問題を繰り返し、繰り返し解くことで必ず早くなっていきます。

逆に言えば、繰り返し解くことでしかスピードを早めることはできません。

このように、簿記の勉強は、本当に泥臭いんです。泥臭いんですが、半端なテクニックを使ったり、変な暗記法に惑わされるよりもこれが一番効率的なんです。

だからその分時間はかかってしまいますので、簿記の勉強は長期的な計画を立てた上で、

各受験生の最も適したペースでやっていく必要がありますね。

ただ一方で、簿記は一回体に染み込ませるくらいやりこめば、あとは定期的にメンテナンスするだけですむようになります。

体が覚えてくれるので、一回マスターすれば、問題を見ただけで自動的に手が反応してくれるようになるんですね。

特に、論文式試験の前は簿記にほとんど時間をかける必要がなくなります。問題集を一からやり直す必要もほぼありません(まあ、やり直している時間もないでしょうが・・・)。

マスターした後のメンテナンスも、論文式試験の勉強時に予備校から配布される答練等をこなしているだけで十分です。その分空いた時間を、他の科目の勉強に時間を使えるようになります。

だから、早いうちに簿記をマスターしておくと後々楽です。マスターし辛い分、マスターできれば他の受験生にも大きな差を付けることができますからね。

問題を解くスピードを早くするには?

ただ、問題を解くスピードを出来るだけ早くする工夫は普段から行っていきましょう。簡単に言えば、「書く量を減らす」ことが大事です。

書く勉強は無駄が多いですからね。書く勉強は大量の時間を必要とする割には、大してインプットに役立たないので割に合わない勉強だとこちらの記事で詳しくお話しています。

一方でアウトプットの方法としては「書く」という手段しかないので、問題を解くときも、解答を「書かざるを得ません」。

ただ、その際もなるべく書くのに掛ける時間を減らしましょう、ということも以前お話しした内容ですよね。

ここで、簿記の勉強で取るべきテクニックが、勘定科目の略称を使うこと。

「売掛金」→「売×」

「買掛金」→「買×」

などの略称は有名だと思います。

また、それ以外も自分が分からなくなってしまわない範囲で、勘定科目の略称は積極的に使っていきましょう。あらゆる手段を尽くして、書く時間をなるべく減らすのです。

間違っても、「法人税等調整額」とか、「その他有価証券評価差額金」とか、馬鹿正直に勘定科目名を全部書いちゃだめですよ!!時間かかりすぎますから。

ちなみに、私が受験時代に使用していた、勘定科目の略称例も晒しておきます。

資産項目

現金及び預金→ げんよ
売掛金 → う×
貸倒引当金 → かし引
受取手形 → うけ手
商品 → しな
貯蔵品 → ちょ
前払費用 → 前ヒ
未収利息 → 未・利
土地 → とち
建物 → 建
建設仮勘定 → 建かり
減価償却累計額 → AD
機械装置 → きかい
投資有価証券 → とうし
関係会社株式 → 関かぶ
長期前払費用 → 長前ヒ
繰延税金資産 → DTA

負債項目

買掛金 → か×
支払手形 → し手
短期借入金 → 短かり
未払費用 → 未ヒ
未払法人税等 → 未・法
仮受金 → 仮うけ
長期借入金 → 長かり
退職給付引当金 → 退引
資産除去債務 → じょさい
社債 → しゃさい
繰延税金負債 → DTL

純資産項目

資本金 → しほん
繰越利益剰余金 → くりこし
自己株式 → じかぶ
新株予約権 → しんかぶ
その他有価証券評価差額金 → その他

PL項目

売上高 → うり
売上原価 → うげ
減価償却費 → Dep
貸倒引当金繰入額 → かし引くり入れ
受取配当金 → うけはい
受取利息 → うけり
社債利息 → しゃり
投資有価証券評価損 → 投ひょう損
投資有価証券売却損 → 投ばい損
固定資産売却損 → 固ばい損
減損損失 → げんそん
法人税等調整額 → H

 

こんな感じで、見た目はかなり悪いですが(笑)、単に略すだけでなく、漢字の代わりにひらがなやカタカナ、アルファベットも使って、出来る限り書く時間を減らすよう、工夫を凝らしています。

全部真似しろとはいいませんが(笑)、ぜひ、参考にしてみてください。

また勘定科目の略称以外にも、ご自分で「もっと書く量を減らせないかな?」と普段から考えながら学習を進めてくださいね。

電卓のブラインドタッチの習得は必須

計算問題を解くとき、電卓は左手で使うようにしていますか?(利き手が左手の場合は、右手ですね)

当然、ブラインドタッチもできるようになっていますよね?

全ての計算科目に言えることですが、電卓を利き手とは反対側の手でブラインドタッチできることは、短期合格を目指す上で

必須のスキル

ですよ!!

これができるだけで、問題を解くスピードが5-10分以上は変わってきます。実に、短答の問題1問解けるくらいの時間ですね。

特に時間が足りなくなりがちな財務会計論で、これだけの時間をロスするということは致・命・的です。

ブラインドタッチができない=自動的に問題1問を落としている

位の感覚を持ってください。

ちなみに、私の受験生時代も、直前期にも関わらず右手でチマチマ電卓を叩いている人がいました・・・

「そんなんだからあなたは何回も落ちるんですよ!!!」

とどれほど言いたかったことか・・・。まあ、受験生時代は、そんなライバルに塩を送るような真似はしなかったですが。

でも、今は違いますよね。今なら私は、全力であなたの勉強を応援できるので、私はあなたに心からのアドバイスをします。

電卓のブラインドタッチは、絶対にマスターしておくこと!!

もしまだあなたがマスターしていないのであれば、早急にマスターしてください。

電卓は、合格後も仕事で頻繁に使うので、ブラインドタッチは早めに身に付けておくに越したことはありません。

逆に、ブラインドタッチすらできない会計士なんて、仕事できなさそうな感じがしません?

電卓のブラインドタッチはマスターするのにそんなに時間はかかりません。頑張れば1-2週間くらいで身につけることができるでしょう。パソコンのブラインドタッチをマスターするよりよっぽど楽ですしね。

マスターするのにかかった時間は、マスター後に問題を解くスピードの速さでカバーしましょう。

ぜひ、今のうちに電卓のブラインドタッチをマスターしておきましょうね。

 

*電卓のブラインドタッチのやり方などは下記をご参考にどうぞ。

理論はとにかくテキストを繰り返し読む、問題集を繰り返し解く

財務会計論の理論は、財務諸表論といわれていますね。

試験では「企業等の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、会計諸規則及び諸基準並びに会計処理手続について出題」されます。

簿記で勉強した仕訳・会計処理が、どういう理由で、どういう目的でそういった仕訳・会計処理をしなければならないのかとかいった風に、企業会計基準の制度趣旨・背景を理論的に学んでいく科目です。

財務諸表論は、以下2つの前提知識があればとっつきやすいかなと思います。

  • 現金主義会計と発生主義会計
  • コンバージェンス

順番にお話していきますね。

現金主義会計と発生主義会計について

昔は現金の動きがあった際に、収益計上などの会計処理を行う「現金主義会計」を行っていましたが、経済活動が発展していくにつれて、掛取引などが広がり、企業の「信用」がものをいう時代になってきたため、「現金主義会計」が時代にそぐわない処理になっているのではないかという指摘が起こってきました。

そこで現行の会計基準では、現金の動きがなくても、役務提供の完了といった「事実が発生した時点」で収益計上などの会計処理を行うことを求める「発生主義会計」が原則とされています。

ストックオプションや退職給付会計、資産除去債務などのややこしい会計処理も、全てこの「発生主義会計」を満たすことを目的として制定されているものです。

まあこの「発生主義会計」のせいで話がややこしくなっているとも言えますが。(笑)

ちなみに実務では、交際費とかの請求書の日付は3月なのに、請求書が4月に入ってからやっと届いたために、決算締の作業に間に合わず費用計上が漏れていたという問題が頻繁に起こっています。

発生主義の観点から行くと、当然その事実が発生した月に費用を計上すべきなのですが。。。まあ実務上、なかなか対応が難しいこともある、ということですね。

コンバージェンスについて

コンバージェンスとは、会計基準の世界的な収斂(しゅうれん)のことですね。

企業のグローバル化が進んでいる一方で、各国で会計基準が違っていたら、各企業間での経営成績の把握が困難になるんじゃないか?という問題が生じています。

これを解決するため、企業のグローバル化に対応して、会計基準もグローバル化を進めていくべきだというのがコンバージェンスの考え方ですね。

で、そのグローバル化の基準となるのが、IFRS(国際財務報告基準、イファースと発音)ですね。

つまり、各国でそれぞれ異なっている会計基準についても、いずれは全てこのIFRSに収斂していくよう、世界的な圧力がかけられているということですね。

日本もその圧力に屈しつつあり、従来の日本の会計基準を捻じ曲げて、IFRSに合わせにいった会計処理があります。包括利益とかね。

日本のガラケーがiPhone等のスマホにことごとく駆逐されていった様を思い浮かべれば、

理解しやすいかもしれません。

日本でもパナソニックやKDDIなどの大企業もすでにIFRSを適用しており、平成29年8月現在でIFRS適用済みの会社が127社あります。(JPX 日本取引所グループ HPより)

これからもIFRS適用の波は続くでしょうし、いずれ、会計士もIFRSについて深く理解しておかなければならなくなる時代がくるかもしれませんね。

IFRSを知っている会計士は重宝される、とも言われています。

こういった背景を踏まえ、少し大人の事情も含めながら(笑)、現行の会計処理が定められています。

この辺りの知識を土台として覚えておくと、今後の勉強もはかどるというか、内容の理解がスムーズにいくはずです。

財務諸表論の勉強の進め方

さてさて、理論は計算とは違って、問題集と同じくらいテキストも使います。テキストを繰り返し読むことで、記憶の定着を図っていきます。

テキストは本文だけでなく、注釈も含め全て、どこに何が書いてあるかパッと思い浮かべることができるくらい読み込みましょう。

短答式試験の場合は、定義や趣旨まで暗記する必要はないのですが、暗記まで行かずとも、その内容が腑に落ちて理解できているレベルには達する必要があります。そして試験範囲が膨大なので、やっぱりそれなりに時間をかける必要があります。

テキストを3周以上できれば合格圏内に入れるでしょう。

もちろん、問題集もフル活用していきますよ。

基本的な勉強の流れとしては、

倍速の講義音声を聞きながら、テキストをさらっと読み流し、テキストの全体像を大まかに把握する

問題集を解く、間違えた論点については、その論点全体についてテキストを読み返す

もう一度テキスト全体を読み返す。今度は注釈も含め全ての内容を理解する気で読み込む

一回目に間違えた論点を中心に、もう一度問題集を解く。間違えた論点については再度テキストを読み返す

もう一度テキスト全体を読み返す、終わったら問題集を解き直す・・・

こういうプロセスですね。このプロセスが反復できればできるほど、記憶が強く定着していきます。

初めてテキストを読むときは内容を理解するのに時間がかかりますが、あまり長く悩んでしまうようであれば、その論点は飛ばしてどんどん先に進むようにしてください。

一度問題集の問題を解くことで、どういう形式で出題されるのか、その論点で特に理解しておかなければならないことは何か、分かるようになります。

そして、その理解によって勉強にも強弱をつけることができるようになります。理解すべきところ、覚えるべきところが分かって、一方で手を抜いて良いところが判別できるようになります。

それが分かると、テキストを読んだだけではよく分からなかった部分についても、1回目とは違って理解がスムーズにいくようになります。

また、何度も繰り返しになりますが、書いて覚えようとするのは時間がもったいないので、マジでやめてくださいね。

覚えにくい論点については何度も繰り返し読む、何度も繰り返し声に出す勉強で対応するようにしてください。

追加で準備しておきたい問題集

財務会計論は、計算・理論共に問題集が重要です。

計算に関しては予備校で配布されている問題集をマスターできれば、十分合格レベルに達することができます。

・・・一方で、理論に関しては予備校で配布される問題集では不足がある印象です。予備校によっては答練の問題しか配布されない、とか。

そこで私は、以下の問題集も自分で追加で購入して解いていました。

特に早まくりはとても良い問題集でした。これだけで短答の試験範囲をすべてカバーできているんじゃないか、というくらいの網羅性の高さです(その分、分量も多いですが汗)。

ご自身の学習状況や、予備校で配布されているテキスト等を勘案して準備するようにしてくださいね。

*ネットでも書店でも予備校でもどこで購入しても良いですが、必ず最新版かどうか確認して購入するようにしてくださいね!!


また、以下の記事で短答式試験に短期合格する勉強法を科目別にまとめていますので、こちらもご覧ください。

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