会計士関連情報

予備校が売り出している公認会計士の魅力は全部ウソです。

あなたは、資格試験予備校が宣伝文句にしている公認会計士の魅力ってのを見たことはありますか?

『高収入!!』『独立可能!!』『安定性!!』『男女平等!!』『将来性!!』のような聞こえの良い言葉が、予備校のパンフレットやホームページには載っていることでしょう。

紛れもない現役の公認会計士である私が、はっきりとお伝えしておきます。

以上のことはすべて真っ赤なウソです。

 

・・・いや、ごめんなさい、ウソってのは言い過ぎました。

とはいえ、実際に会計士になってみた立場としては、「予備校のこういう話を鵜呑みにして会計士を目指すと、後で『話が違うじゃないか!』と思うかも?」と言いたいのです。

というわけで、今回の記事では、現役の会計士という立場から、これらの言葉が真実かどうか考えてみることにします。

公認会計士は高収入なのか?

まずは、公認会計士が高収入であるかどうかですね。

確かに、初任給は悪くないです。というかかなり良いです。大手監査法人だと額面で28ー30万円くらいはもらえるので、新卒で大企業に入るよりも高い初任給を得ることができます。

ただ、収入の伸びは良くないです。監査法人に入所してからは3−4年の間はスタッフとして働きます。この期間の年収はおおよそ500万円ほどです。

新卒で入ることができれば、悪くない給料ですよね(ちなみに新人の頃、残業しまくってた同期は年収800万円稼いでいたらしいです。その分、死に物狂いで働きまくっていたそうですが)。

そして、シニアに昇格したら年収600−800万円くらいに上がります。シニアの期間もスタッフと同じで、3−4年ほどですね。

その後、マネージャーに昇格すると年収800−1,000万円くらいに上がります。この期間が結構長くて、6−8年くらいはマネージャーとして働くことになります。

そして、最上位の役職であるパートナーに昇格して、ようやく年収1,200−2,000万円の大台に乗ります。このパートナーに昇格できるまでは、どれだけ早くても15年はかかるでしょう。

また、監査法人はパートナーの席が限られているので、ぶっちゃけパートナーまで昇格するのは結構ムズいです。1年のうちにパートナーへ昇格できる人は、1事業部につき3人程度で、限られたパイの奪い合いになっています。

パートナーに上がるためには、例えばものすごく大きな会社の監査を担当していたとか、海外経験があるとか、営業ができるとか、特別な能力をもっていないとダメですね。

また、大企業より給料が高い分、福利厚生はイマイチです。一般的な会社であれば、例えば家賃補助、社宅、社員食堂、社内預金といった、充実した福利厚生が用意されていますが、監査法人には福利厚生がほぼありません。

特に家賃補助が出ないのは痛いです。監査法人のオフィスは基本的に都市圏にあるので、職場の近くに住もうとすると当然家賃も高くなってきますが、家賃補助が出ないので全額自己負担です。

社員食堂がないのも痛いですね。先ほどお話したように、監査法人のオフィスは基本的に都市圏にあるので、ランチ代も高くなりがちです。1回のランチで1,000円を超えるのも珍しくありません。ふと気付くと、1ヶ月間のランチ代が2万円を超えていることもあります。その分いつも美味しいランチが食べられて幸せなんですけどねw

というわけで、今までの話をまとめると、確かに額面だけを見ると会計士は高収入と言えるかもしれませんが、福利厚生が微妙なので、1ヶ月の支出も踏まえると大企業のサラリーマンとトントンくらいの収入になりますね。

ただ、「それだけ貰えたら満足だよ!」と思う人も多いかもしれませんけどね。

あと、独立して成功すれば、収入は青天井に増えます。

公認会計士は独立できるのか?

次に、公認会計士は独立できるのかどうかについてですね。

事実として、独立して成功している会計士はいます。

しかし、会計士の「独占業務」を主軸において独立するのはかなり難しいです。ご存知の通り、会計士の独占業務は『会計監査』なのですが、監査が必要になるクライアントは、監査が義務付けられている上場企業や大会社などで、個人が相手にするクライアントにしては規模がでかすぎるんです。

つまり、独立して、会計監査で飯を食っていくのはほぼ不可能に近いわけですね。

というわけで、独立している会計士は、税務業務から始める場合がほとんどです。現行の制度上、公認会計士の資格を持っていれば、税理士の資格も取得できるため、税理士として独立するわけですね。

税務業務であれば、個人事業主や小規模企業の確定申告代行や、税務コンサルなどで、1人でも回せる業務が多いですからね。

というわけで、会計士は独立可能、これは真実だと言っていいでしょう。もちろん、独立には相応のリスクがあるし、覚悟も必要になりますけどね。ただ、成功すればめちゃめちゃ楽しいですw

公認会計士には安定性があるか?

次に、公認会計士に安定性があるかどうかについてです。

まず、監査法人には安定性はないかもしれません。なぜなら、監査法人にはリストラした実績があるからです。それも、新日本・トーマツ・あずさの三大監査法人のそれぞれで、です。

今は業界全体で人手不足なため、そうそうリストラされるような状況ではありませんが、いつ状況が変わって、またリストラが行われるようになるか分かりません。

人手不足の状況でも、あまりに仕事が出来ない人は監査チームから除外されて、監査現場に呼んでもらえなくなります。ずっとクライアント先に出してもらえず、事務所でばかり勤務することになるんです。いわゆる「干されている」状態になるわけですね。

また、シニア昇格年次、もしくはマネージャー昇格年次になっても、上の人に気に入られていなければ昇格させてもらえず、ずっとスタッフのまま、ずっとシニアのまま、のようなこともあり得ます。

特に、今は上が詰まっているので、『席がない』という理不尽な理由で昇格を1年ストップされることもあります。

このような状態で安定しているとはとても言えないです。

ただ、公認会計士の資格を持っていて、人並みに仕事ができる人であれば、監査法人じゃなくても、他の一般事業会社の経理職や会計事務所に転職することもできます。

また、独立して集客や営業のスキルを身に付けて、お客さんを自分で見つけられるようになれば、この上ない安定性を手に入れることができます。

安定性は誰かから与えてもらうのではなく、自分で掴み取るもの、ということですね。

公認会計士の業界は男女平等であるか?

次に、公認会計士の業界は男女平等であるか、ですね。

会計士の男女割合は男性が8割、女性が2割となっていて、男性の数が圧倒的に多いです。そのため、監査法人のような大きな組織では、どうしても男社会になってしまいます。そのせいか、パートナーまで昇格している女性も、男性よりはかなり少ないです。

また、産休なり、育休なりを取った場合は、昇格も男性よりも遅れてしまいます。子育てのために定時で帰る女性の会計士の人もいますが、男性に比べたらやはり昇格が遅れていますね。

このように、組織内で働いているうちは、男女平等とは言えないかもですね。

ただ、これも独立して、自分の力で売上を上げられるようになれば解決する問題です。そもそも昇格とかいう概念がありませんからねw

公認会計士に将来性はあるか?

最後に、公認会計士の将来性についてです。

英オックスフォード大学の准教授オズボーン氏が発表した「機械に仕事を奪われそうな仕事ランキング」ってのを見たことはありますか?そのランキングに、会計士が2位に堂々ランクインしているらしいです。

最近はAIが発展してきていて、会計士の仕事もAIに奪われるのではないか、ということですね。そういうことを書いている週刊誌やブログもありますよね。

ただ、実務経験者の立場から言わせてもらうと、到底あり得ない話ですね。こーいうのは実務を知らない連中のたわごとです。

会計や監査の世界では、会計上の見積や不正のリスクシナリオ、特別な検討を必要とするリスクなど、人間の判断が要求される領域がまだまだ残されています。そういった領域に導入していけるほど、AIの技術は発展していないはずです。

もちろん、今の監査には必要の無い社内資料の作成など、ムダな作業も多いです。今後も機械化や自動化は進んでいくでしょうから、そういった形式的な作業しかできない会計士は、どんどん仕事を失っていくと思います。

というわけで、機械にはできない・人間にしか出来ない価値を提供できるように、自己研鑽に励んでいけば、その人の将来は明るいでしょう。

結局は自分の実力次第だという話

以上、予備校が公認会計士の魅力として宣伝していることが、ホントかどうかについてお話してきました。独立している現役の会計士だからこそ話せるような、ぶっちゃけ話もできたんじゃないかと思います。笑

で、今回の記事を通して私がお話したかったのは、「結局、何もかも自分の実力次第だよ」ということです。

高収入が得られるかどうかも、独立できるかどうかも、安定性を手に入れるかどうかも、会計士という資格に頼るだけじゃなく、自分の力で掴み取っていく必要があるということです。もちろん、資格が大いに役立つときもありますけどね。

試験に合格しただけでは、あくまでもスタートラインに立ったに過ぎません。そこから自分が何をしていきたいのか、何をするのかが大事なのです。

予備校の言う会計士の魅力につられて、会計士試験に合格できさえすれば、ただちに「高収入」とか「安定性」とか「明るい未来」が手に入ると考えているような、思考停止の人はこれから先、めちゃくちゃ苦労することでしょう。

それから、私がいつも受験生の人たちに言ってるのが、

「こういう自分を豊かにすることばかり考えるような、いわば内向きの目標を掲げてちゃダメだよ!そうじゃなくて、会計士になるまでに勉強してきた知識や、会計士になってから得られた経験などを周りの人のために役立てていくことが大事。要は、外向きの目標も持っておこうね!」

ということです。

そういった外向きの活動の中で、自分も大きく成長できたり、面白い人達に出会えたり、素敵な経験が得られたりするわけです。

その意識を持っていれば、予備校が売り出しているような、表面的な公認会計士の魅力よりも、はるかに価値あるものがあなたの手に入ることでしょう。

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